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DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 第八弾:『アルビノ・アリゲーター』

サスペンスやミステリー好きな桜井にとって、「衝撃のラスト」とか聞くと、どうにも気になって仕方ない。『アルビノ・アリゲーター』もそのひとつで、噂の「賛否両々を生んだ結末」というのが気になった、と言うのがこの映画を観るに至った切欠で。
#下記にぐたぐたとレビューしてますが、簡単に言えば『ソウ』みたいな感じのラスト。映画のテーマと後味の悪い結末のバランスが絶妙で、『ソウ』のラストに納得いく人は、このラストも気に入るのではないだろうか。因みに、同じ手法で誰も傷つけることなく脱出したのは『インサイド・マン』。

しかし、思うに、フィクナー様の出演作品の多くがサスペンス映画だったり、コンポーザーがリモート・コントロールのメンバーの映画だったりして本当に助かってます。。。
珍しく俳優にハマってしまい、作品見るぞ!(=DVDコンプ)と流れたものの、意外とDVDを持っている作品が多く、難なくコンプに近づいている今日この頃。。。

…という訳で、ウィリアム・フィクナー祭第八弾は『アルビノ・アリゲーター』です。

あらすじ

ドヴァ、マイロ、ロウの3人組みが倉庫に忍び込もうとした時、警報が鳴る。慌てて車で逃げ出した3人であったが、タイミングよく駆けつけた警察に追われることに。慌ててパトカーを振り切った3人組みであったが、仲間が負傷した為、近くにあった地下にある古いバーに逃げ込む。しかし、仲間を手当てしたら、誰も傷つけずに、すぐに逃げるつもりであったのだが、気がつけばバーの周囲を警察が取り囲まれてしまっていた。しかも、最悪なことに逃げ込んだ古いバーは、違法建築であった為、本来あるはずの裏口がない。彼らの逃げられる出口は、警察が取り囲むバーの入り口ひとつしかなかったのだ。
そこで、3人はバーにいた5人の人間―何とか強盗を取り押さえようとする店のオーナー、よく喋る雇われマダム、警察に犯人の人相を言ってやると言い放つ中年の客、ビリヤードをしに来ていた青年、そして謎めいた"静かな"ビジネスマン―を人質に立て篭ることを決意する。
どうすれば自分達が安全に逃げられるのか。3人が脱出方法を模索するそんな中、ギイと名乗った謎のビジネスマンが、人質に紛れて出て行けばいいと提案するのだが―。

レビュー

※後半ネタバレあり!※

物語は古いバーを中心に展開される。閉ざされた空間で繰り広げられる物語は、映画と言うよりも、舞台を観ているような演出である。
しかし、この舞台のような演出が、少ない登場人物たちを密接に関り合わせ、緊張感のあるストーリーを作り出している。
バーに立て篭る事になった、リーダー格のドヴァは、自分には犯罪者ではないごく普通の人生もあった筈と悩む青年である。
犯罪をしているにも関わらず人を傷つけることを嫌う、ドヴァの兄マイロ。その一方で、必要とあれば殺人も平気で行うと言う暴力的で危険な"異常者"のロウ。
この2人の間に挟まれたドヴァは、自分たちが安全に逃げる方法に決断が下せない。
そんな中、警察に追われていたのは自分たちではなく、別の人物であったことを知る。
行き詰ったドヴァたちが導き出した答えは、警官が追う武器商人をこの立て篭もり事件の犯人にすること。
だが、警察には顔を知られていない強盗3人組みであったが、人質に紛れて逃げれたとしても、人質が自分たちのことを黙ってくれていることがあるだろうか?
劇中、ロウによって語られ、本作のタイトルでもある「アルビノ・アリゲーター」とは、希少な確立で生まれる白いワニのことである。生まれつき体の弱いこの白いワニは、仲間のワニが生き延びる為、他のワニへの劣り=生贄にされるのだ。
ドヴァとマイロとロウの3人は、武器商人を立て篭もり事件の犯人にしようとする。
この自分が生き延びる為に、弱いものを犠牲にするというテーマは、本作に一貫して存在するテーマだ。
「アルビノ・アリゲーター」を探す強盗3人組みもまた、武器商人の正体が明らかにされたとき、彼に生贄にされかけていたことを、我々鑑賞者は理解するのである。
ドヴァとマイロとロウの3人をはじめ、武器商人、そして巻き込まれた人質たち。それぞれが生き延びる為に、策略を練る。それは、古いバーで展開される静かなサバイバルと言えるだろう。
物語は、生きる為の"犠牲"をそれぞれが払い、生還者を生む。
普通の人生を望んでいたドヴァもそのうちの一人。彼は"犯罪者"から"人質=普通の人"へ新しく生まれ変わることが出来たのだった。
しかし、"生贄"によって生き残った人々には助かったことへの素直な喜びはなく、そこの描かれるのは自分たちの犯した罪に苛まれる姿だ。
ラストシーンで、ニュースキャスターが助かった人々にインタビューするシーンがあるが、真実を知らないニュースキャスターが彼らを「ヒーロー」と称える場面の皮肉さは、作品をより高尚なものへと昇華させている。
この後味の悪さこそ、犠牲によって生き延びた人々の重さに他ならない。

ウィリアム・フィクナー in 『アルビノ・アリゲーター』

『アルビノ・アリゲーター』でのフィクナー様の役は、"異常者"と呼ばれ恐れられるロウ。必要とあれば人を殺すことも厭わないと言う凶暴性を持つキャラクターです。追い詰められ半ばパニックになっているドヴァを余所目に、平然と構え人質たちを威嚇。犠牲者を出したくないマイロにとっても、仲間と言えども手を焼く相手となっています。
しかし、こうしたロウの犯罪を楽しんでいるかのような姿や負傷したマイロも手荒に扱う思いやりの無さは、人質の安全を考えるドヴァやマイロとは対照的に人質たちへ恐怖を与える存在として、物語が追い詰められた3人の強盗だけのものではないことを忘れさせないでくれます。
また、終始"異常者"として凶悪ぶりを見せてきたロウが、人質を殺そうと銃を構えるも、マダムと青年が実は親子であったことを知ったときに思わず躊躇ってしまう姿には、人間的な一面が垣間見られ、本当は人が思っているほど"異常者"では無かったことがわかります。この一瞬の変化で、キャラクターの内面を描き出す演技は、流石はフィクナー様というところです。

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