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DATE : 2007/09/26(水)

ウィリアム・フィクナー祭 第七弾:『MONA 彼女が殺された理由』

"いかにも"なパッケージとタイトルをはじめ、「驚愕のどんでん返し」、「一瞬たりとも目が離せない急展開サスペンス。ミステリー」などの宣伝文句につられ、すごく入り組んでドロドロしたシリアスなサスペンスを期待して観たのですが。。。。
なんか日本の場合、作品の内容を無視して売れるように宣伝する傾向があるようで、その内容の違いに驚いた傑作。
#いや、結果的に推理モノとしては、その辺のサスペンスよりしっかりしていてよかったのですがね。因みに、アメリカ版の方が、コミカルな作風に合った感じで、作品を観た人からしてみれば違和感無いです。
そして、あのもじゃもじゃ頭の仕様が無い"変態おやじ"はフィクナー様なのね…(泣)と、振り返る今日この頃。

と言う訳で、ウィリアム・フィクナー祭第七弾は、『MONA 彼女が殺された理由』です。

あらすじ

ある日、田舎町で車に乗った女性が、車ごと川に落ちて死亡するという事故が起こる。誰もが事故と思う中、車に細工の後を見つけた保安官のラッシュは、それが殺人事件であると睨む。
ひとり捜査に乗り出したラッシュであったが、被害者の女性モナは町でも名高い嫌われ者。家族を始め、モナの身近な人物全員が彼女を嫌っており、殺したい動機もあったのだ。
そんな中、モナの息子と事業を起こしていたボビーが怪しいと言う噂を耳にする。しかし、ボビーはラッシュの娘エレンの婚約者。ラッシュは、モナを殺した犯人を突き止めようとする一方で、義理の息子となるボビーに掛けられた殺人犯という容疑を晴らそうと、捜査を進めていくのだが…。

レビュー

田舎町で起こった殺人事件。サスペンス・ミステリー映画と聞くと、シリアスな展開が普通であるが、本策は一味違う。軽快な音楽に乗せて、物語はテンポよく、コミカルに進んでいく。
個性豊かなキャラクターに、滑稽な人物関係。それはまるでサスペンスというより、コメディー映画だ。
しかし、コメディー・タッチではあるものの、ミステリー映画としての推理部分も決して疎かではない。推理のレベル的には、『名探偵コナン』などの子供向けアニメ程度ではあるが、劇中の証言や証拠の他にも、映像の細かいところにヒントが隠されており、鑑賞者も謎解きを楽しめる。本格的なミステリーが苦手な人でも、十分楽しめる映画としてお勧めできる作品である。
特に、真犯人を知ってからもう一度鑑賞をすると、一度目の鑑賞では何とも思わなかった(或いは、笑えた)台詞や行動に、複線的な意味があったことに気づかされる。また、モナを殺したにも関わらず、平然を装い自分は殺人事件とは関係ないという真犯人の態度や神経には思わずぞっとさせれれてしまう。
『MONA 彼女が殺された理由』は豪華キャストの競演ではあるが、この恐ろしい真犯人役にあの俳優を抜擢したことには、その個性や演技力からまさに適任であり、そのキャスティングの見事さに脱帽させられる。

ただし、後半になるにつれ、物語の方向は、ボビーを殺人者にしない為の画策へと変わっていってしまっている点は、これだけ手の込んだ作品なだけに勿体無く思える。折角鑑賞者も参加できる推理のスタイルをとっているにも関わらず、探偵(本作の場合は保安官ラッシュ)が事件の真相を解き明かすという場面が無い。従って、推理を楽しんでいる者としては、物語の核であった殺人事件の話がうやむやになってしまい、些か消化不良に陥る。ラストシーンも、ボビーとエレンの結婚式で締めくくられ、作品全体の印象が「町の邪魔者を排除して、ハッピーエンドになる物語」となってしまっているのが残念である。
尤も、これは物語のプロット上、そうせざるを得ない部分もあるのだが。

ウィリアム・フィクナー in 『MONA 彼女が殺された理由』

今回のフィクナー様の役は、殺された女性モナの夫フィル・ディアリー。フィルはなぜモナ結婚したのかよく分からないくらい、日々彼女の尻に敷かれ、時に浮気疑惑からフライパンで叩かれ…、となんとも情けない立場にいる一家の主です。正直なところ、かっこいいフィクナー様のお姿を観たい方にはお勧めできるシーンはありません。髪型ももじゃもじゃ頭に揉み上げと、セクシーさも皆無。しかも、フィルの性格は(劇中の言葉を借りれば)"変態おやじ"。日中も所かまわず浮気相手のウェイトレスの体を触り、単なる助兵衛おやじに他なりません。
尤も、こういう役も難なく熟している所は、流石はフィクナー様という感じで、純粋に演技力が好きというのであれば、押さえておくべき一作ではあります。
(付け加えて言えば、この映画を最後まで観れば、自ずとなぜフィクナー様がこの役を演じたのかが、納得いく筈です。)

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